ここまでいろんな楽器を紹介してきました。時代背景や使用目的、そして音色も異なるいろんな楽器があります。 音楽を通して表現する為にいろんな楽器を組み合わせることができます。 さて、一般的にどんな編成(組合せ)があるのでしょうか、いくつかご紹介します。
♪ 吹奏楽
日頃目にすることの多い吹奏楽ですが、皆さんは吹奏楽とブラスバンド(Brass Band)は一緒と思っていませんか?
本来、ブラスバンドはブラス(真鍮)バンドすなわち金管楽器(コルネット、ホルン系、トロンボーン、ユウフォニアム系、テューバ)+ 打楽器で編成されたバンドのことです。吹奏楽はブラスバンド + 木管楽器の編成を指し、ウインドアンサンブル(Wind Ensemble)とも表現しています。現在ではコントラバスやハープ、ピアノが加わる事もあります。
日本は世界的にも吹奏楽大国と言われています。群衆に石を投げると吹奏楽経験者に当たるとも云われるくらい愛好者は非常に多いのです。
♪ オーケストラ
弦楽器、管楽器、打楽器で編成されています。語源はギリシャ語で「歌い踊る場所」の意味です。
ルーツは16世紀頃に貴族おかかえの合奏団や王室行事に集められた演奏グループまでさかのぼることができます。
♬ バロック時代(17世紀~18世紀)
教会や宮廷での演奏会が中心だったため楽器の音量は小さく小編成です。
奏者の並び方は会場の広さなど制約があり様々で、指揮は主にチェンバロ奏者などが兼任で「弾き振り」をしていました。
バッハの一般的な編成では
・ヴァイオリン2~3 ・ヴィオラ1~2 ・オーボエ2~3
・リコーダー1~2 ・トランペット1~3 ・ティンパニ1
・通奏低音(チェンバロやチェロ、オルガン、ファゴット等)1~5
♬ 古典時代(18世紀半ば~19世紀初頭)
オーケストラの発展期です。コンサートホールでの演奏が中心になったため楽器も大きな音が出るようになり、編成も大きくなりました。
ベートーヴェンの交響曲第5番(運命)では
・第1ヴァイオリン12 ・第2ヴァイオリン10 ・ヴィオラ8 ・チェロ6 ・コントラバス4
・ピッコロ、フルート2 ・クラリネット2 ・オーボエ2 ・ファゴット2、コントラファゴット
・トランペット2 ・トロンボーン3 ・ホルン2 ・ティンパニ2
♪ ベートーヴェンは交響曲第5番で初めてトロンボーンをオーケストラで 採用しています。(でも3楽章まで休憩で4楽章の冒頭からいきなり最高音から始まるなんて演奏者泣かせです。)
交響曲第9番では交響曲に初めて混成合唱と大太鼓を加えています。
♬ 近代(ロマン派、19世紀初頭)以降
19世紀にはいると編成はますます大編成になり壮大な曲が次々と演奏されるようになりました。
ベルリオーズは「レクイエム」でティンパニを16台使用し、マーラーは第8交響曲で合唱とオーケストラ合わせて1000人近くを求めています。(1000人交響曲と呼ばれています。)
R.シュトラウスのアルプス交響曲では
・第1ヴァイオリン18 ・第2ヴァイオリン16 ・ヴィオラ12 ・チェロ10 ・コントラバス8
・ピッコロ、フルート2 ・クラリネット4(1本はバスクラリネット持ち替え) ・オーボエ2 ・ファゴット3、コントラファゴット
・ホルン4 ・テナーチューバ4 ・トランペット4 ・トロンボーン4 ・チューバ2
・ティンパニ8(2名で演奏) ・打楽器11
♪ 室内楽
各楽器1名ずつが基本で2名から10名ほどで合奏します。
貴族社会で、はぐくまれてきたジャンルで17世紀のイタリアには王侯専属の室内楽の作曲と演奏を請け負う音楽家が存在していました。
主な編成として
「二重奏」 ピアノとソロ楽器の組み合わせが多い。(ピアニストを伴奏者とは言いません。)
「ピアノ三重奏」 ヴァイオリン、チェロ、ピアノ
「ピアノ四重奏」 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノ
「弦楽三重奏」 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ
「弦楽四重奏」 2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ
「金管五重奏」 2トランペット、ホルン、トロンボーン、テューバ
「木管五重奏」 フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン
♬ あれ!木管五重奏なのに何故ホルンが入っているのでしょうか?
実は管楽器のアンサンブルが盛んだった古典派音楽の時代、ホルンは常に 木管楽器と一緒に演奏していました。何故か? 同じ金管楽器の中でもトランペットは宮廷や軍隊のための高貴な楽器であり、トロンボーンは教会に使われる神聖な楽器だったからで、ホルンだけが民衆に身近な楽器として楽しめる存在だったからです。当時は木管、金管というより管楽器というくくりだったようです。
私にとってトランペットやトロンボーンは庶民的で、ホルンは高貴な感じがしますが…
♪ ジャズ
ジャズの世界では少人数でプレイするスタイルを「コンボ」と言います。編成人数によって呼び名が次のように変わります。
●トリオ 3人編成で、代表的なものにピアノ、ベース、ドラムの3編成があります。 楽器の組合せは色々変わることもあります。 (リーダー格の人の名前を取って、○○トリオなどと言ったりします。)
●クァルテット トリオにもう一つ楽器が入ります。ギター、管楽器、ビブラフォンなどです。
●クインテット トリオにもう2つ管楽器が加わり5人編成となった形です。
●セクステット 6人編成になります。
●7人以降続けていけば色々な名称が出てきますが、大体これ以上の人数になると『ビックバンド』と言われます。一般的なビックバンドは15人から構成されていて、管楽器が右側、リズムセクションが左側に並びます。管楽器ではサックスが一番前に並び、その後ろにトロンボーン、その後ろにトランペットが並びます。
これら以外でも和楽器と西洋楽器や音階を使わない機器(コンピューターなどの人工音)や自然音とのコラボレーションなど数多くの組合せがあります。
音楽表現するには古今東西の特徴があります。
貴方は何をどのように表現したいのですか?!
方法は一つではなさそうですネ。
♪ 突然ですがここで問題です。
Q演奏団体で一番大きな所帯はオーケストラですが、一番多くの楽器を使いこなすのはどのパートでしょうか? フルートやクラリネットの人も何種類かの楽器を持ち替えていますし、トランペットやトロンボーンも何種類か持ち替えているみたいですね。・・・
A実はオーケストラで一番多くの楽器を扱うのは打楽器奏者なんです。200種類以上の楽器を担当するのだそうです。トライアングルをチンチンって鳴らすくらい私にもできそうですが200種類は無理です。打楽器奏者は諦めます。
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