♪ 金 管 楽 器 ♬

♪ ホルン 

 客席と反対方向に音を出しているホルン。不思議な楽器ですね。

 何故あのような形になったのでしょうか。

 むかし、馬に乗って狩猟をしている時に獲物が見つかったことを仲間に知らせるためにホルンが使われていました。その時に馬が驚かないように前でなく後ろ向きに音を出した狩猟用ホルンや手紙を届けに来たことを知らせるポスト・ホルンなどが原型だったからです。オーケストラに登場したのは17世紀末ですが、1814年にヴァルブ・システムが発明されてからトランペット同様に画期的に発展していきました。

ホルンはベル(音の出口)の中に右手を入れて演奏している変わり者の楽器です。右手の加減によって、音程や音色、音量にも変化をもたらしています。さらに右手は楽器を支える役目もあり、ホルン奏者の右手の付け根にはタコができています。

1つの楽器で1つの調性が当たり前ですが、ホルンは調性を増やすことができるようにシングル、フルダブル、フルトリプルのファミリーがあります。ホルン奏者は唇が薄い人が向いていると言われています。また、ホルンはマウスピースが細くて、息が入りづらい楽器ですので、コントロールがかなり難しいです。ソロや目立つ旋律は、たま~にしか出てきませんので、目立ちたがりの人には向いてないかもしれません。管も長く倍音が出やすいので、他の楽器に比べて音程を外しやすいという特性があります。

♬ この楽器に適していない人がやると、何年たってもホルンらしい音が出ないと云われています。(性格や長期間の努力が影響?)

楽器の構造や奏法などから金管では最も難しい楽器とも言われています。(ギネス認定)

フルダブルで重さは約2.65㎏、ベルの直径は約30㎝、長さは約40㎝(横)、菅を伸ばすと約280~360㎝あります。

♪ トランペット 

 金管楽器の花形といえば、ご存知トランペットですよね。

 貴方はニニロッソの甘い色とマイルスデイビスの渋い色のどちらがお好きですか?それとも応援ラッパですか?トランペットは昔から音楽の世界だけでなく人生の多くの場面で使われています。

 この楽器の歴史は古く、古代エジプトの時代から呪術、儀式、戦争といった重要な場面では必ず登場し、男性のみが手にできる楽器でした。中世ヨーロッパでは貴族の楽器として重宝され、やがて騎馬隊の楽器になりました。

 当時の楽器の長さは現在のトランペットの2倍以上あり、唇の形と息の速さだけで倍音を作り出して演奏していたため、調性に合わせた楽器がいくつも必要でした(ナチュラル・トランペット)。そのため、スライドやキイを採用するなど試行錯誤を繰り返していました。

    1814年にヴァルブ・システムが考案されてから半音を容易に出すことができるようになり、各段と演奏しやすくなりました。ヴァルブ・システムはピストン式とロータリー式があり、ピストン式は華やかな音色でフランスやアメリカ、日本で好まれ、ロータリー式は穏やかな音色でドイツ、オーストリアで好まれています。

♬ トランペットの仲間にピッコロ・トランペット、コルネット、フリューゲルホルンなどがあり、オーケストラだけではなく、吹奏楽やジャズ、ポップスまで幅広いジャンルで活躍しています。

フリューゲルホルンとコルネットはホルン属から分岐されたと考えられていて、トランペット属とは別系統とされています。

トランペット奏者はリーダーシップがあり、目立ちたがりが多いようです。

楽器の重さは1.1㎏、長さは約50㎝、菅を伸ばすと約140㎝になります。

♪ トロンボーン 

 トロンボーンは15世紀中ごろに生まれ、「スライドトランペット」の一種から派生したと云われています。音域は成人男性の声域に近く、またスライドによって音程をスムーズに(純正律に)調整できる事から得られるハーモニーの美しさなどから「神の楽器」といわれ、協会音楽に重用されていました。

トランペットが「小さなラッパ」を意味するのに対してトロンボーンは「大きなラッパ」の意味です。

 トランペットより音域が1オクターブ低いトロンボーンはスライド(管)を伸縮させて演奏します。スライドには印などは無く演奏者の耳と運動神経を駆使し菅の長さを決めて演奏する楽器です。決められた管の長さで演奏する他の管楽器とは異なり、トロンボーンは管楽器の中で唯一正確な音階が吹けることのできる楽器といわれています。

男性的で勇敢な場面で使われることの多いトロンボーンですが、バロック時代では美しいハーモニーを醸し出せることから天使の登場場面などで使われていました。

最近ではジャズやポップスにも多く用いられていますが、明確さや甘い音色がより多く求められるため、オーケストラで使われるものより少しスリムタイプになっています。

 一般に使われている楽器はテナー、テナーバス、バスの3種類ですがオーケストラではアルト・トロンボーンも使われることもあります。

一番多く使われているテナーバス・トロンボーンの重さは約1.6㎏、長さは約129㎝、菅を伸ばすと約490㎝になります。 

私も若いころトロンボーンを吹いていたことがありました。その時代のトロンボーン奏者には酒豪が多かったように記憶しています。(私の仲間だけ?)     

♪ ユーフォニアム 

 私が中学生の時に「小バス」やそれよりも少し管が細い「バリトン」と呼ばれていたものが見かけられなくなり、20代になって「ユーフォニューム」が店頭に並び、いつのまにか「ユーフォニアム」という名前になっていたように記憶しています「小バス」は「ユーフォニアム」と名前を変えていったようです…………

 この楽器の正確な歴史がよく分かりません。1835年に「バス・チューバ」が誕生し、その後「テナー・チューバ」が考案されました。1843年にゾンマーがそれを改良したものが、ギリシャ語で「ユーフォノス=気持ちの良い音」を意味する「ユーフォニアム」だったと伝えられています。

 音域はトロンボーンとほぼ同じですが、ベルの直径は10㎝ほど大きいのです。音は豊かで、ホルンとは違った優しい音がします。

♬ ベルギーで1843年にアドルフ・サックスが、高音域から低音域までを同一の音色でカバーする一連の金管楽器「サクソルン」を製作し、1845年に特許を取得しています。 現在のユーフォニアムは、このサクソルンのバス(Basse)のスタイル(アップライトベル、アップライトピストン)を踏襲しています。

 楽器としては新しいためオーケストラ曲は少ないのですがムソルグスキー作曲(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」やホルスト作曲の組曲「惑星」などで使われています。

♬ やわらかい音色で中低音域ですが、メロディーから伴奏までなんでもこなせる万能楽器。 特にメロディーと一緒に奏でられる副旋律(オブリガード)は基本的にユーフォニアムが担当しています。まさに現代の吹奏楽には欠かせない楽器です。

楽器の重さは約4.5㎏、長さは約70㎝、ベルの直径は約30㎝、菅を伸ばすと約295㎝になります。

♪ チューバ 

 16世紀後半に教会で男声に重ねて響きを豊かにするために用いられてた「セルパン」が進化し、18世紀以降はオーケストラの低音部を任されるようになり1814年にヴァルブシステムが考案され、新しい低音の金管楽器が求められるようになりました。1835年、モーリツが「バス・チューバ(低音の管の意味)」を発明。3年後に「テナー・チューバ」も考案されました。

♬ 「セルパン」は蛇に似た形に曲げられた長い円錐形をしています(元々serpentはフランス語で蛇の意)。金管楽器なのに一般的なバルブではなく木管楽器のような音孔があります。音程が悪かったため、19世紀半ば以降は起用されることがほぼなくなりました。

♬ マーチングなどで良くみられるスーザフォンは1893年にアメリカの作曲家ジョン・フィリップ・スーザが立奏を前提として作りました。演奏者の体力負担を軽減するため、1960年代以降、重量のかさむ真鍮に代えてより安価かつ軽量な繊維強化プラスチック(FRP)で楽器本体を製作する事が多くなりました。

合奏の底辺を支え、打楽器とともにリズムを担当するチューバは演奏する上において無くてはならない重要な楽器であり、音楽に詳しく、楽団全体に注意を向けられる人に担当してもらいたい楽器です。

 基本的な種類だけでも小さな順から F管、E♭管、C管,B♭管があります。

C管の楽器の重さは約9㎏、長さは約80~100㎝、ベルの直径は約36~50㎝以上、管を伸ばすと約939㎝あります。

マウスピースだけで約260gありピッコロよりも重たいのです。

♪ 比較的にすぐに吹けるようになる楽器は? 

 ここまでいろいろ管楽器を紹介してきましたが、気に入った楽器はありましたか?  いろんな楽器あるけれど、どれも難しそう!って思っていませんか?  基本的には打楽器のように簡単に音の出る楽器ほど、良い音が出るのには時間がかかります。逆に音を出しにくい楽器ほど上達が早い?のかもしれません。  初心者ででも比較的始めやすそうな楽器をご紹介したいと思います。

第三位 トランペット  人気があるトランペット。難しそうに吹いている人が多いと思っている貴方。ご心配なく、案外吹きやすい楽器なんです。マウスピースが小さいので綺麗な音を出すまで少々苦労するかもしれませんが、コツをつかむとソロを担当できる素敵な奏者になれるのです。大きな楽器に比べ肺活量をさほど問題にしないので、比較的始めやすい楽器ではないかと思います。

第二位 トロンボーンとユーフォニアム  トランペットに負けず劣らない人気の楽器トロンボーン。  スライドを使って音を出すので難しいイメージがあるかもしれません。でも覚えてしまえば簡単です。マウスピースはトランペットよりも大きく。初めてでも比較的綺麗な音が出しやすい楽器です。ユーフォニアムもマウスピーはトロンボーンと同じサイズで、トランペットと同じくヴァルブを操作して演奏するのでトロンボーンよりは簡単かも!?。

第一位 サックス  楽器紹介でも述べましたが、音出しのレベルが低いのがサックスです。  リードを使って音を出す木管楽器で、両手の指を使って演奏しますが音を出す面では他の楽器と比べても簡単です。  でも他の管楽器は正しい音程で練習していけば綺麗な音になってきますが、サックスは音程と音色は連動しないため、双方に注意していかないといけない楽器です…

♪ 吹くのが難しい楽器は? 

 では反対に難しい楽器は何でしょう?  簡単に音が出ない楽器ってどんな楽器なんでしょうか?

第三位 フルート  素敵な女性のイメージのある楽器ではないでしょうか。  この楽器だけ横を向いていて、指の動きも難しそうに思えます。そして自分の息全てが音にならない効率の悪い楽器なんです。  ゆっくりとした優雅な旋律を奏でる反面、アップテンポの旋律を奏でることもあります。

第二位 ホルン  見た目には人気のある楽器かと思いますが、金管楽器の中で最も難しい楽器としてギネスブックに載っているとか。  実はマウスピースが小さく管も長いためコントロールが難しい楽器なのです。 他の楽器よりも音を外しやすい楽器でもあります。

第一位 オーボエ  リードを使って音を出す楽器で、サックスやクラリネットの一枚リード(シングルリード)と違いダブルリード楽器になります。リードがものすごく重要で、音の良し悪しは、ほぼリードで決まると言っても過言ではありません。その為、リードの調整、管理にはかなり神経を使い、リードを自分で作る人がほとんどです。そして、ソロを担当することも少なくありません。

 ダブルリード楽器ではファゴットもあります。ファゴットは十本指全部を使って演奏するなどオーボエに負けず難しい楽器と思いますが、ソロが少ない分、楽かな?と思います。

こうしてみると管楽器の中では木管楽器の方が難しそうですね。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です