打楽器(だがっき)とは、打つ、こする、振るなどして音を出す楽器の総称で、世界最古の楽器といわれています。原始時代から存在していて、古代の人々は、両手を打ち会わせたり、木の枝でものをたたいて音を作り出していました。
また山間の歩行に、猛獣毒蛇をさけるための打ち道具も、ダンスに利用すれば立派な楽器となり、これがない場合には、拍手、足ぶみ、胸、腹、尻、腕、脚などを打つこともあります。 打楽器は手や棒などをたたいて音を出しますが、このたたくときに音波が生まれて、人間の耳に音としてとどきます。魔術や祭儀の場面では悪魔を追い払うのに不可欠な道具として、また、戦場では兵士たちの士気を高める重要な役割もありました。(映画でもよく見ましたね。)
空っぽの胴にヘッド(皮)を張るだけで、誰でも作ることができます。
オーケストラで使用する打楽器は200種類以上と言われていますが、打楽器と言えば大太鼓(バス・ドラム)や小太鼓(スネア・ドラム)が一般的ですが、タンバリンやトライアングル、カスタネットやマリンバ、など沢山あります。他にもラテン音楽で使われるコンガやボンゴ、マラカスなど民族楽器や風や波の擬音を出す道具も含まれています。
鐘や鼓、拍子や鈴など日本の打楽器は世界でも種類が多い国といわれています。
♬ 打楽器の歴史をみてみるとオスマントルコの軍楽隊が注目されます。現在でもシンバルはトルコ製が主流です。
♬ 私が若い時に買った小太鼓の説明書に「叩きすぎにご注意ください。気分が悪くなる場合があります。」と書いてありました。夢中になって叩き続けてしまうってことなんでしょうかね。打楽器は心臓の鼓動とシンクロするのでしょうか。私は打楽器が最も本能的な楽器だと思っているのですが……
♬ 動物の心臓は、運動に合わせて規則正しく動いてくれないと体調を崩すのと同じで、音楽ではリズムセクションの打楽器とベースが上手く機能しないと演奏は乱れ、最悪になります。なぜか、弦・管楽器が苦手な人や、超初心者のたまり場のような感じになる団体があるのですが、みくびってもらっては困ります!
確かに叩けば誰でも音は出せますが、熟練の打楽器奏者と同じ音色は出ません。さらに、リズム感、タイミング、音量などを間違うと一発で楽曲全体を壊す破壊力があります。また、扱う楽器も多いですし、それぞれ演奏方法も違います。
打楽器はかなり難しい楽器のひとつです。
しっかりしたものを作るためには建物も音楽も基礎が大切です。
♪ ティンパニ
大きな鍋状の胴体にヘッド(牛皮やプラスチックなど)を張った楽器です。太鼓の中では唯一ヘッドの張りを調整して音程を作っています。だからティンパニ奏者は音感も要求されます。(最近はチューナーで確認していることが多くなりましたが・・・)
古くはオスマントルコの軍楽隊が馬の背に乗せて叩いていました。だからティンパニは2本で一対の楽器なんです。オーケストラに本格的に登場するのは17世紀後半からで、効果的に使われだしたのはベートーヴェンの交響曲以降です。
オーケストラで使用する打楽器は200種類以上と言われていますが、ティパニーは一打で音楽の流れを変え、オーケストラの音を決める楽器と言われています。演奏者はマレット(バチ)の種類によって音色、表情が変わるため神経を使っています。オーケストラや吹奏楽にとって大変重要な楽器の一つです。
♬ オーケストラでは古い時代に合わせて牛皮のヘッドを使うこともありますが、一般的にはプラスチックヘッドを使うことが多いですね。
♪ 太鼓
スネアドラム
小太鼓と呼ばれている楽器です。祖先は12世紀のフランスにさかのぼり、18世紀後半からは、ヨーロッパの軍楽隊で人気を博したようです。
構造的にバスドラム(大太鼓)などと違うところは裏面に張ってあるヘッド(皮)に響き線と呼ばれる線が装備してあり、あのシャン(ジャン?)という音が出るのです。スチール製(主流)やガット(羊腸)製などがあり、形状により様々な表情が出ます。胴の長さや材質(木製、金属製)などにより音色に変化があります。
♬ スネアドラムもヘッドの叩く位置や、スティック(バチ)の種類などで音色を変えています。
♬ 打楽器奏者はこの楽器で打楽器の叩き方の基礎を勉強します。
♬ 英語の「スネア」。実はこの響き線のことです。
大太鼓
祖先は14世紀トルコの「ダヴル」という打楽器。ヨーロッパでは軍楽隊が最初に取入れ、トルコ風にこん棒を、もう片方には小枝のムチを持って鳴らしたと云います。
♬ ヘッドはプラスチックか仔牛の皮が一般的で、プロのオーケストラでは低音が豊かに響く皮製を使うことが多いです。ただし、皮製は破れやすいため、演奏中に破れてしまったときには、ガムテープで応急処置をしています。
♬ 大太鼓の大きさは直径61~102㎝、幅36~66㎝くらいで、大きくなるほど深みが出ます。
♪ シンバル
シンバルは、つば広帽子の形に、比較的薄く伸ばした金属でできた楽器。同様のものはユーラシア大陸全土に広がっており、仏教や芝居にも使われています。
指に付けて打ち合わせたりして演奏する非常に小さいシンバルがあり、フィンガーシンバルと呼ばれるものもあります。
同じ形のシンバルを2枚対向させて打ち合わせるなどして演奏する場合と、1枚のシンバルを吊すかホルダにゆるく固定してスネアドラムのバチ(スティック)や、シロフォンやマリンバ、場合によってはティンパニのバチ(マレット)で叩く場合があります。前者をクラッシュ・シンバル(一般的には合わせシンバルやハンドシンバルと呼ぶ)、後者をサスペンデッド・シンバルと呼んで区別しています。
西洋音楽で使われるシンバルはトルコから広まったものであるという歴史から、現在もシンバルメーカーはシンバル発祥地トルコが源流というブランドが世界市場で主力となっています。
♪ ドラムセット
両手両足を駆使して演奏するドラムセット。特にポップスやジャズ、ロックなどで大活躍していますが、現在では吹奏楽でも無くてはならない存在です。多くの場合舞台中央に位置しバンドの中心となる大切な楽器。私の憧れの楽器の一つなんですが、実は軍楽隊の中から発想が生まれました。
少ない人数で演奏するために大太鼓の上にシンバルを取り付けたことが始まりで、1894年に小太鼓奏者が大太鼓を足で打つペダルを考案し、ハイハットペダルにも応用したことが今のドラムセットの基本形になりました。
ドラムセットはスネアドラム、タムタム、フロアタム、バスドラムの太鼓類とハイハットシンバル、ペーパーシンバルが基本構成になって、演奏スタイルによって太鼓類やシンバルの種類や数を変えています。
ドラムセットに組み込まれる打楽器類の種類や数は、奏者の好み・音楽的方向性・経済的事情等により多種多様。ドラムセット(ドラムの組み合わせ)と言う名称ですが、シンバルなどのドラムで無い打楽器がセットの中に組み込まれています。
♬ ドラマーにはピアニストと並び腰痛持ちの人が多いのが特徴です。
♪ ボンゴとコンガ
いずれもキューバ発祥の打楽器で、ルンバやマンボ、サルサなどのラテン音楽をはじめ多くのポピュラー音楽で用いられています。
「ボンゴ」とは、大小2つの太鼓を繋げた打楽器で、おもに指や手のひらで叩いて演奏します。 口径の小さい高音の太鼓を「マッチョ」、大きい低音の太鼓を「エンブラ」と呼び、利き手側に「エンブラ」がくるように足に挟んで演奏するのが一般的です。
「コンガ」は、樽型のボディ上面に張ったヘッドを、おもに手のひらで叩いて演奏します。 「コンガ」には3種類あり、口径が小さく高音のものを「キント」、中音のものを「コンガ」、口径が大きい低音のものを「トゥンバドーラ」と呼び、2つの大きさを組み合わせて演奏されることが多いです。
「コンガ」、「ボンゴ」ともにボディは木製、ヘッドは水牛や牛の革で作られたものが一般的ですが、近年では湿度や温度に強いファイバー製やプラスチック製のものも多くなっています。
♪ ギロ
ヒョウタンの内側をくりぬき外側に刻みを入れて棒でこすったり叩いたりして演奏します。おもにラテン音楽で使用される民族楽器です。 刻みはヒョウタンの長手方向に垂直に入れられ、それを何本も並べてぎざぎざにしています。ヒョウタンを鉛直にぶら下げ、ぎざぎざの部分に木や金属、象牙や動物の角などの棒をあて、ヒョウタンを上下させることにより、棒でこする。これにより「ギー」(長いとき)、「チャッ」(短いとき)というような音を出します。
♪ タンバリン
タンバリンは、胴に小さなシンバルを付けた、極めて浅い小型の片面太鼓です。手に持って叩く奏法が最も一般的(代表的なものにスペインのフラメンコ)。指、拳、手のひらで叩くほか、膝やお尻に打ち付ける、振ってシンバル部を鳴らす、鼓面のふちにそって鼓面をこする、ドラムスティックで叩くなど様々な鳴らしかたがあります。スタンドに装着して、指、拳、手のひらで叩く方法もあります。 ドラムセットのハイハット・スタンドに取り付ける方法もあり、これはハイハットを叩いたりペダルを踏んだときにも鳴らすような、装飾的な使い方にもなります。
♪ ウッドブロック
中空の堅い木に、割れ目が入れてあります。木魚が楽器として変化したものとされています。四角い箱形のものと、丸い筒状のものがあり、丸い筒状のものには、2個まっすぐにつないだ形のものもあります。ルロイ・アンダーソン作曲のシンコペーテドクロック(狂った時計)などが有名です。
♪ カホン
カホン は、ペルー発祥の打楽器(体鳴楽器)で、カホーンとも発音されます。 カホンは楽器自体に跨って演奏される箱型のもの(ペルー式と呼ばれる)からコンガのように股に挟んで演奏されるもの(キューバ式と呼ばれる)まで、打面が木製である打楽器全般を指します。通常ペルー式カホンが多いです。
ペルー式カホン(スペイン語で「箱」)は通常木製ですが、打面にFRPを用いた製品もあります。通常側面に1つだけ打面を持ち、打面以外のある1つの面(多くは打面の反対の面)にはサウンドホール(音孔)が空けられています。打面は他の面より薄く、打面の裏には弦や鈴などを仕込むことがあり、これらを仕込ませることにより特徴的なバズ音を得ることができます。
♪ ウインドチャイム
長さの異なる金属の棒を吊り下げて並べたもので効果音的な役割を持った楽器です。 あらゆるシーンで多用されバラードやアコースティックの曲などでは抜群の効果をもたらします。 最近、人気があるカホンのオプション楽器として使われているのをよく目にします。
♪ ハンドベル
イギリスで生まれた楽器で正式にはイングリッシュハンドベルといいます。
ベルを振ると中の振り子(クラッパー)が金属部分にあたることで音がでるようになっています。また、振り子はスプリングで調整されているため1回振る度に一度だけ音が出るように工夫されています。
数人~数十人のチームで一人それぞれ2~5つの音(ベル)を受け持ち、メロディーの流れの中で自分の担当の音がきたらベルを振り鳴らす、という集中力、チームワークが重要な楽器です。教育楽器、リハビリに用いる楽器としても注目されています。
♪ 銅鑼(どら)
青銅、真鍮、鉄などでできた金属製円盤を枠(ドラスタンド)に吊るして、桴で打ち鳴らします。仏教の法要、民俗芸能の囃子、歌舞伎下座音楽、出帆の合図など広く用いられています。 はっきりした音程はありませんが、一定の音程に調律するものもあるようです。
♪ 鍵盤打楽器
小学校などで使っていた木琴や鉄琴のことです。
古代エジプト時代の壁画にも鍵盤打楽器のルーツとなる楽器が描かれていました。また、紀元前1000年頃のマケドニアには鍵盤打楽器奏者が存在したと伝えられているそうです。
奏者は少なくとも2本、多いと6本のマレット(バチ)を持って自分の指のように自在に操って演奏します。
種類は音を出す板が木製のものがシロフォン(木琴)で15世紀頃は「木のハーモニカ」と呼ばれていました。1910年頃アメリカで発展したのがシロフォンよりも音色が柔らかなマリンバ。1921年に鉄琴に共鳴管を付けたのがヴィブラフォンで、ジャズ楽器として広まり、電動でヴィブラートできるようにしたのが特徴です。
♬ 鉄琴のグロッケン・シュピールは独語で「鐘」の意味。昔はピアノと同じ仕組みの「鍵盤式グロッケン・シュピール」も存在したようですが、音量が出ないことから19世紀半ばには現在のようにマレットで叩くタイプが主流になりました。
♬ マリンバのルーツは、西アフリカで使われている木琴バラフォンで、木の枠組の上に固定した木片を置き、下には共鳴用のひょうたんが取り付けてある楽器です。
コメントを残す