♪ 木 管 楽 器 ♬

楽器

♪ リコーダー 

 みなさんが小学校や中学校で使っていたプラスチック製の楽器「リコーダー」(縦笛)は教育楽器として定着していますが、簡易楽器(おもちゃ)って思っていませんか?

 リコーダーの音を出す原理はフルートやオカリナ、日本の尺八と同じなのです。

 ルネッサンス時代(15世紀~16世紀)からバロック時代(18世紀中頃まで)に「フルート」といえば「リコーダー」を指していて縦型のフルートとして花形楽器だったんです。その後、横型のフルート(フラウト・トラベルソ)が強弱を付けられるように改良され、音域を広げていくことにより表現力が高まったため、縦型のフルート(リコーダー)が衰退していきました。そして時代とともにリコーダーは忘れられていったのですが、手軽な楽器であることからドイツで教育楽器として復活し、戦後日本でも取り入れられ現在に至っています。

 元々はソロ楽器ですが、合奏ではリコーダーの狭い音域をカバーするために、高音から低音の順にソプラニーノ(F管)~ソプラノ(C管;小学校で使用)~アルト(F管、中学、高校で使用)~テナー(C管)~バス(F管)~グレートバス(C管)~コントラバス(F管)が用いられます。合奏ではソプラノからバスまでの四重奏が多いですね。

さて、なぜリコーダーと呼ばれるのでしょうか?

 日本でも鳥の鳴き声を教える為の道具(楽器?)があったように、西洋でもリコーダーは鳥に鳴き声を教えるためにも使われていました。覚える。記録させることを英語ではrecordと言いますね。これが語源だといわれています。(諸説ありますが・・)

持ち運びが簡単なリコーダーですが、教会や一部のコンサートホールの壁面に備え付けてある巨大楽器、パイプオルガンと音の出し方(構造)、菅の材質(金属製もあります)が同じなので合奏しても違和感が無く、溶け合った演奏になります。(大男と子どもの声が一緒?)

ところで、17世紀までの絵画に登場するリコーダーの演奏姿を見ると、多くの場合、手が現在と左右が逆。現在のように左手が上にくる作法が定着するようになったのは18世紀になってからのようです。

リコーダー曲といえば、アルトリコーダー用に描かれたものが多いです。

♪ オカリナ 

 オカリナ(ocarina)という名称は、イタリア語の「oca(ガチョウ)」に由来する造語で、「-ina」は “小さな” を意味する接尾語であることから、「小さなガチョウ」といった意味合いです。材質もまた様々ですが、素焼きの陶器で作られているものが多く、比較的容易に自作することもできます。「コカリナ」と呼ばれる短い円筒形の笛は、木で作られたオカリナです。

 オカリナに似た楽器の起源はマヤ文明にまでさかのぼることができ、亀の形をしたものが発掘されています。中国や中央アメリカなど、多くの文明にも同様のものが見られます。16世紀にアステカの楽器がヨーロッパに伝わり、1860年頃にイタリアのジュセッペ・ドナティ(1836年 – 1925年)の手で改良されて、ほぼ現在の形となりましたが,古くからイタリアでカーニバルのとき子供たちが吹き鳴らした土焼きのホイッスルが原型のようです。

 オカリナは歌口付近の構造がリコーダーとほぼ同じなので音を出しやすい楽器であり、簡単な曲はすぐに演奏できます。しかし、息の強さや気温により音高が変動する点もリコーダーと同様なので、吹きこなすにはやはり相応の練習が必要です。

♬ 指穴の数や配置も決まっているわけではなく、6個から13個程度の指穴を持つオカリナが多いのです。

♬ オカリナには大きく分けて、ソプラノ管・アルト管・バス管の3種類の管があります。さらにその中にG管・F管・C管と、たくさんの調子に分かれています。 最初に購入するオカリナとしてアルトC管が圧倒的に人気&オススメです。

♪ フルート 

 画家マネの「笛を吹く少年」にも描かれていますが、女性に大人気の優雅で優しい音を出す楽器ですね。ジェームズ・ゴールウェイ、ジャン=ピエール・ランパル、エマニュエル・パユ、など名だたる演奏家が多いのもこの楽器の特徴です。

 フルートはバロック時代のフラウト・トラヴェルソ(横型のリコーダー)が進化をし、19世紀にベームが革命的な機構を開発し、現在につながっています。

 フルートは空瓶の口を吹いて音を出す原理で音を出します。尺八も同じです。

18世紀の終わりに発明されたピッコロはフルートと同じ指使いで3オクターブが出せます。いつでもフルートのおまけのように思われがちですが、吹奏楽やオーケストラの中でも作曲家たちはここぞという場面で効果的に用いています。小さくてもけっしてフルートのおまけではないのです。

「オーケストラがやってきた」というテレビ番組でイタリアのフルート奏者故ガッゼローニが「私の目指していた音をようやく日本で見つけることができました」と喜んで話されていました。それは日本の「尺八」だったのです。(*_*;

フルートの仲間にはピッコロのほかにアルト・フルート、バス・フルート、コントラバス・フルートがあります。

フルートの重さは約0.4㎏、長さは約65㎝、ピッコロの重さは約0.17㎏、長さは約34㎝、になります。

♪ オーボエ 

 形状はクラリネットによく似ていますがリード二枚を重ねて音を鳴らす(ダブルリードといいます。ファッゴトも一緒です。)円錐管の楽器です。

 1670年にはオーボエの演奏記録が残っているようです。楽器の機能性も進化しドイツ式からフランス式に移行していきました。ドイツ式は製作者の後継者がいないことから絶滅の危機にありましたが、要請を受けた日本のヤマハ楽器が研究開発を進めたことで現在でもウィーンフィルの奏者など200人程が愛好しています。

オーケストラの演奏前には必ずオーボエの音でチューニング(音合わせ)をしますよね。あれはオーボエが必ず正しい音程を出せるからではなく、音程の調整が他の楽器より難しい(調整幅が少ない)からなのです。(ファゴットも同じ理由で調整は難しいのですが根性で合わせているようですよ!?)

管楽器では息が足りなくなって苦しくなるのはあたりまえですが、オーボエは「管の中に息があまり入らないために、息が余って苦しい」のだとか。(眉間にしわを寄せて頑張るから前頭葉が広くなってしまうの?)

オーボエの仲間にはオーボエ・ダモーレやイングリッシュ・ホルン(コールアングレ)があります。学校の下校時や閉店時刻に流れる、邦題「遠き山に日は落ちて(家路)」(ドヴォルザーク新世界交響曲第二楽章)で耳にするもの悲しい音色の楽器がイングリッシュ・ホルンです。(金管楽器のホルンとは関係ありません。)

オーボエの重さは約0.67㎏、長さは約70㎝、になります。

♪ クラリネット 

 18世紀にデンナーがクラリネットを開発し、19世紀に入りミューラーが13個のキーを持つB♭管クラリネットを発表。その後100年もの間それが標準となりました。

 18世紀前半に作られた初期のクラリネットはリコーダーに2つのキーが着いているような形状でしたが19世紀後半にはキーも増え、管がとても細い金属製もありました。

クラリネットは3オクターブ以上の音域が出ます。柔らかいベースの音色から高音はピッコロのような音色まで出るため表現能力の高い楽器です。

クラリネットは吹奏楽ではオーケストラのヴァイオリンと同様に楽団の中心楽器で人数が多く、音色や音量、動きなど息を合わせることもとても重要になってきます。周りの人との調和が大切なパートです。吹奏楽以外でもベニー・グッドマンや北村英治のようなジャズ奏者もいます。

クラリネットファミリーは高音域順にE♭管クラリネット、B♭管クラリネット、A管クラリネット、アルト・クラリネット、バス・クラリネットが良く使われています。その他にもC管やバッセト・ホルン、コントラバス・クラリネットなどがあります。一堂に演奏するとオルガンのような響きがします。

♬ バス・クラリネットの形はサックスの考案者アドルフ・サックスが開発しています。

B♭管クラリネットの重さは約0.79㎏、長さは約70㎝、になります。

♪ ファゴット 

 コミカルなとぼけた味わいの音が特徴のファッゴト。16世紀にはすでに教会で活躍するなど、歴史は結構古い楽器なのです。管楽器の革命期である19世紀に入り改良が加えられ1843年にヘッケンが18キーで4オクターブを超えるファゴットを開発しました。

ファゴットは指10本を使って演奏します。木管楽器では親指は楽器を支える役割が多いのですがファゴットは親指を用いて10個のキーを操作します。

ファゴットとバスーン

 同じ楽器を指していて、国によって呼び方が変わるだけと思われていますが、フランスのバッソン(バスーンのフランス名)は、厳密に言うとファゴットとは少し異なる楽器です。 バッソンは機構が単純なため音程が取りにくいなどの難点もありますが、音色がホルンに近く表現がより豊かであるとされています。バッソンは音量があまり大きくないことから、ベルリオーズのように1パートに2本重ねて4管として使われることが多いようです。

ファゴットはイタリア語で「束」の意味で、4本の缶を束ねることに由来しています。(英語圏では「男性同性愛者」の意味があるとか・・・)

ファゴットの重さは約5㎏、長さは約140㎝で、コントラ・ファゴットの重さは約6㎏、長さは約140㎝になります。

♪ サックス(サクソフォン) 

 古くはサム・テーラーのすすり泣くテナー・サックスでしょうか?最近ならケニー・Gの甘い音色のソプラノ・サックスでしょうか?それとも貴方はナベサダ(渡辺貞夫)のアルト・サックスがお好きでしょうか? いずれにしても心に染みる甘い音色は他の楽器の追随を許さないでしょう。

 オーケストラではあまり見かけない楽器ですがビッグバンド(ジャズ)では最前列に座り、旋律を担当するなど中心となる楽器です。吹奏楽ではクラリネットと呼応する木管楽器として、また金管楽器との橋渡しとして無くてはならない楽器ですよね。そして今や吹奏楽では人気№1楽器ではないでしょうか。

サックスはクラリネットと同じようにリード一枚を震わせて音を出しますが、クラリネットに比べて音が出しやすいことから「電車の窓から楽器を出せば音が出る」と言われました。

(そんなことは決してありません。念のため・・)

他の管楽器は正しい音程で練習していけば綺麗な音が出ますがサックスは正しい音程で吹けても綺麗な音色が出ない楽器なのです。常に両方に注意が必要な楽器です。

さて、サックスっていつ頃からあるのでしょうか?

 サックスはサクソフォンと言って1855年のパリ万博「楽器製造コンクール」部門でグランプリに選ばれた楽器です。製作者はベルギー人のアドルフ・サックスです。クラシック音楽用に高音から低音まで同じ種類の楽器で演奏できるように考案されたものでした。

 一般的に使われている楽器はソプラノ(B♭)、アルト(E♭)、テナー(B♭)、バリトン(E♭)の4種類です。

ちなみに菅の長さ、重量はソプラノ・サックスで約66.5㎝、約0.9㎏。アル ト・サックスで約70㎝、約2.5㎏。バリトン・サックスで約224㎝、約5.6㎏あります。

楽器
スポンサーリンク
音楽のおはなし ~ライムさんの知得音楽~

コメント

タイトルとURLをコピーしました